どうも、毎度お世話になっております。
今回は感想というよりは最近は大半の人の記憶の片隅に消えてしまっているであろう、しかしながら超絶おすすめな作品を紹介します。
それが「超光戦士シャンゼリオン」です。
自分の中の良作ランキング的なもので言うと”全て”の作品の中でTOP10に入るぐらいのおすすめ具合です。現在、確実に見れる場所としては東映特撮ファンクラブがあるので、気になった方は見てみてください!
それではどうぞ。
超光戦士シャンゼリオン
概要
『超光戦士シャンゼリオン』は、1996年4月3日から12月25日までテレビ東京系列で放送された特撮テレビドラマです。東映が制作し、全39話が放送されました。
あらすじとしては、破天荒な性格の主人公・涼村暁が、光の戦士シャンゼリオンに変身し、闇の組織ダークザイドと戦う姿を描いています。個性豊かな登場人物たちが織り成す型破りなストーリー展開が特徴で、従来の特撮ヒーロー作品とは一線を画すユニークな作品となっています。
本作は、東映制作の特撮テレビドラマとしては『兄弟拳バイクロッサー』以来11年ぶりの単発作品であり、透明素材を使用した斬新なヒーローデザインや、コミカルな要素を取り入れたストーリーが話題を呼びました。
(WikiをもとにChatGPTで生成)
全体を通してコミカルで異色な作風
というわけで以上が概要だったわけですが、この時期の特撮作品はある種、冬から抜け出そうとした時期だと思います。東映で言えば仮面ライダーシリーズは約二年前の「仮面ライダーJ」を最後に映像作品は止まり、同期の戦隊である「激走戦隊カーレンジャー」と共に今までのヒーロー像とは違ったものを模索していたと思います。円谷では「ウルトラマンティガ」、東宝では「七星闘神ガイファード」が放送され、各社新世代のヒーローであったり殺陣や描写をより”リアル”にしようというヒーロー番組の新しい形が出始めた時期だったと言えると思います。
そのような中でプロデューサーの一人として白倉伸一郎氏、脚本として井上敏樹氏の布陣で後の”平成ライダーシリーズ”の礎のような作品である本作が生まれました。それまでの変身ヒーローものでは考えられないようなほぼ”全編”コミカル1な作風、特撮では中々聞かない東京都知事選が物語終盤の要2になるなどこの布陣でなければ生まれなかったであろう要素が盛りに盛られています。(後は今でいう強化フォーム用のアイテムを犬に食べられてしまうとか、ゴキブリ退治に現れるヒーローとか、屋敷を抵当に出してまで設備費用に回す宗方さんなど)
しかしながら、ところどころに挟まれるヒーローとしてきめる部分は外さないので、先に述べた作風とのギャップも相まってちゃんと”カッコいいヒーロー”になっていると思います。
今ですら類を見ない特撮ヒーロー主人公「涼村暁」
昨今の特撮というか、その他の作品でも見ないような”女好き”と”甘えん坊”かつ”だらしない”を兼ね備えた字面だけで言うととてもヒーローとは言えない主人公が涼村暁です(ちなみに好物はバナナパフェ)。そんな暁が不慮の事故により、偶然にもクリスタルパワーを浴びた結果生まれたのが”シャンゼリオン”です。ちなみに今作の変身にあたる”燦然”およびその他は変身バンクにナレーションの豪華仕様となっております。
燦然
燦然、それは涼村暁がクリスタルパワーを身に纏い、超光戦士シャンゼリオンとなる現象のことである。(記憶の中から引っ張り出したので端々が違うかも)
そんな暁の作品の主人公として他に類を見ない点を詳しくみると
- 借金が1000万飛んで2円ある
- その借金を何度も踏み倒して訴えられて、闇法廷に出廷する
- ガールフレンドが数十人単位で存在する
- 割といろいろなことを秘書任せ
- 怪人にヒーローとは何かを説教される
などがあり、個々で見れば持ち合わせている主人公は多々いるんですが、これらすべてを持ち合わせているのは僕は彼以外に見たことがないですね・・・。でも何というかこういうタイプであれば、ヒモを養う女性の気持ちもわからなくはないぐらいの人懐こい感じと寂しがりやな部分を持ち合わせているのが憎めないやつなんですよ・・・。
非常に甘ったれたやつではありますが、ある種現実のうまくいかない部分を悟っていて(また最終回の解釈次第ではこのように過ごしたかったともとれる)、人を振り回しはするが、悲しませない範疇で自分の人生を楽しみたいという生き方をしています。その分”力”や敵を倒すことの是非に悩む描写がなく、作中のコミカルな演出を存分に楽しめるようになっています。(自分も後先考えないのであれば、こんな生き方してみたかったなぁ)
そんな破天荒な暁ですが、彼の魅力が一番発揮されるのは速水克彦と一緒にわちゃわちゃやっているところです。この二人の絡みが最初から最後まで本当にいいんですよ。
速水という男は本来であればシャンゼリオンになるはずだった男であり、生真面目(良くも悪くも)な愛される男です。序盤は自身がシャンゼリオンになる為に鍛えてきたことによる自負や暁の軟派な態度により暁がシャンゼリオンとなることを問題視しており度々ぶつかることもありましたが、敵や周囲のめちゃくちゃな空間に巻き込まれつつもなんだかんだとダークザイド(敵組織、怪人の総称)を打ち倒す中で暁を戦友として認めるようになっていきます。そんな彼との絡みで一番好きな場面がありまして、ある話でエンディング前に暁と一緒に弁当を食べているシーンがあるのですが、すっごく男の友情を感じるんですよ。女友達しかいない暁が気を使ったというのもそうですし、速水がちょっとへこんでいるところに暁がきて弁当の嫌いなものを押し付けられながらも一緒に食べているところで話が終わるところが非常にたまらんのですよ。
癖が強い敵怪人「ダークザイド」
最近では作品によってまちまちですが、当時までの特撮作品では幹部を除いてお話のギミック3としての怪人が主だったように感じています。しかしながら「超人機メタルダー」を皮切りに悪役にも濃い目の背景4が設定されることも珍しくなくなったように感じます(特に組織対個人になりやすい等身大ヒーロー)。
その流れなのか作風故なのか本作では個人としての怪人についても濃い個性(趣向)を持った怪人が多いです。人間社会に揉まれて鬱になる怪人もいれば、野心をもってシャンゼリオンを狙う怪人、果てにはヤンデレなどピンからキリまで多種多様です。基本的には自分の趣向の食料5を確保するために奇天烈な展開になるのですが、ライバル枠の怪人が一時的に”4枠”まで増えたりします(幹部やライバル枠の怪人には人間態からの変身時に”変身”にあたる掛け声とナレーションがある)。
そんな中で序盤から最終盤にかけて登場し、シャンゼリオンを語るうえで外せない男がいます。
それが黒岩省吾=暗黒騎士ガウザーです。(詳細は以下に)
黒岩省吾
人間社会に溶け込む元闇次元の住人=ダークザイド達のための相談所を開いており、指導者的な役割の闇将軍ザンダーとはまた別の道から人間社会への浸食を企てており、「知っているか」から始まる薀蓄語り6や都知事選に出馬していることからも人間社会について深く学んでいることが伺えます。またダークザイドの騎士としての誇りなのか、気高い部分も持ち合わせており、「第十八話 さらなるライバル」では暁の譲れない部分を見てライバルと認めている節があります(弁当を拾い上げる=ライバルである資格を失うのは惜しいと思った)。
”ブラックアウト”という掛け声により人間への擬態を解き、暗黒騎士ガウザーへと変身する。
(ナレーションでもダークパワーにより暗黒騎士ガウザーへと変身するなんですよね・・・)
快楽主義だがある意味裏表がない暁に対して、表向きは身なりのいい紳士を気取っているが内心では野心に満ち溢れている黒岩とで色々な部分が対になっている存在です。プライドも高く、店で出てきた料理に対して文句をつけて作り直させたりといけ好かない部分もあります(現実では関わりたくないタイプ)。ある意味、当時においての意識高い系だったのかなと。序盤から中盤にかけて強い印象を残し、終盤では後述の暗躍のため直接相対することは少なくなりますがシャンゼリオンにおける悪役と言えばガウザーが一番に来る人が多いと思います。
そんな黒岩ですが、なんと終盤に行われる東京都知事選で勝利し、東京を独立させ”東京国初代皇帝”を名乗り実質的な侵略を成功させます。頂に昇った後、今まで切り捨ててきた弱者によって討たれる展開はよくあるといえばそうですが、ヒーロー番組で、なおかつ現代東京を舞台にした実写作品の中で、この展開は未だに前代未聞だと思います。黒岩の堂々とした散り際と最後に握った血に濡れたハンカチが未だに脳に焼き付いています。
余談
- メインどころのヒーローと怪人の役者さんが後の平成ライダーシリーズに出演していることはあまりにも有名(特に主人公の暁と「仮面ライダー龍騎」の浅倉はちょうど龍騎の放送当時シャンゼリオンのDVDボックスが発売したこともあり、ものすごいギャップを感じることが出来た)
- 仮面ライダー王蛇は演者が中も外も同じ、欲望に忠実、三体のサポートキャラがいる、そしてそれらが合体する、と欲望の方向が違うだけでここまでちがうんですね・・・
- 今作では玩具関連にセガが関わっており、劇中内でバーチャファイターを遊んでいる姿が見られる・・・というかセガっておもちゃ産業にも手を出してたんですね・・・
- 第十話にて「サバじゃねぇ!」というタイトルがあるが、内容とそのインパクトからなのかシャンゼリオンの中では結構いろいろな場所で語られることが多い話題である。是非その由来を目撃していただきたい。(ちなみに2もあるよ)
- OPとEDはいずれも名曲。本編の雰囲気にはそぐわないが、最終回後に聞くエンディングは本編の内容も相まって心にぽっかり穴をあける。
- OPには英語バージョンが存在し、本編OPでも流された。
自分が今TTFCに加入していないので、見返したときに書いておけばよかったと思ったところは更新します。魅力は伝えきれていないと思いますが、ひとまずここまで。
意見がございましたら、Xにてお願いします。いろいろ改善していきます。
今後ともよろしくお願いいたします。
- 基本的に笑ってみられるという意味で ↩︎
- そしてそこから連なる展開も今ではできないでしょう ↩︎
- ○○作戦を実行するためのという舞台装置的な意味で ↩︎
- メタルダーの怪人軍団”ネロス帝国”では、怪人それぞれに〇闘士という階級がついており、軍団や怪人ごとの個性も既存の作品より濃く描かれた。また怪人のみの競技会の回がある。 ↩︎
- 今作で回りくどく人を襲う理由は怪人側がグルメな奴が多いため。例としては”自分に惚れた女のラーム(魂的なもの)”など修飾子が長いのでそれを厳選するために右往左往することに・・・。それにつられて暁たちも右往左往。 ↩︎
- 淡々とした語りもドヤ顔でイキイキした語りも好き。しかしながら勉強した情報源が悪いのか間違っていることが多い。 ↩︎